技術情報 (バネの作り方 

バネの作り方(製造工程)

 各種バネの製造工程は下記になります。

圧縮コイルバネ(押しバネ) 製造工程

 材料検査 ⇒ コイリング ⇒ 低温焼きなまし(テンパー) ⇒ 端面研削 ⇒ ショットピーニング ⇒ 
 低温焼きなまし(テンパー) ⇒ セッチング ⇒ 防錆処理
   工程は省略されることもあります。

引張コイルバネ(引きバネ)製造工程

 材料検査 ⇒ コイリング ⇒ 低温焼きなまし(テンパー) ⇒ フッキング(フック加工) ⇒ 低温焼きなまし(テンパー) ⇒
 防錆処理
   工程は省略されることもあります。

トーションスプリング(ねじりコイルバネ)製造工程

 材料検査 ⇒ コイリング ⇒ 低温焼きなまし(テンパー) ⇒ 端末加工 ⇒ 低温焼きなまし(テンパー) ⇒ 防錆処理
   工程は省略されることもあります。

線材加工(フォーミング加工)製造工程

 材料検査 ⇒ 成形加工 ⇒ 低温焼きなまし(テンパー) ⇒ 部分加工及び修正 ⇒ 低温焼きなまし(テンパー) ⇒ 防錆処理
   工程は省略されることもあります。

バネの作り方(各工程の説明)

 各製造工程の詳細説明です。

低温焼きなまし(テンパー)

 残留ひずみの除去、弾性限の上昇、耐久性、疲労強度の改善と形状の安定化が目的で材質、材料径、その他の条件により専用設備にて
数百度で一定時間行なわれる熱処理の事を言います。
  ※ 残留ひずみとは成形のあとに材料が元の形に戻ろうとして内部におこる力で、これが残っているとへたりや破損が
    起こりやすくなってしまいます。
 フック加工により生じた残留応力を除去するためにも低温焼きなまし(テンパー処理)を行います。
 低温焼きなましをして残留応力を除去すると、成形後の内部応力のバランスが崩れて、バネの寸法は変化します。
バネの成形は、低温焼きなましによる変化量をあらかじめ見越して生産を行います。

ショットピーニング

 バネ線径の4分の1以下の小さな無数の鋼球(ショット)を毎秒数十メートルの高速でバネの表面に衝撃的にぶつける(ピーニング)
作業です。これによりバネ表面は小さな圧こんで一様に覆われ、凹凸状(梨地状)となりますが、表面の硬さが増し、また繰返し荷重
対しては表面層に付与された圧縮残留応力が相殺する形で作用し疲れ強さが増します。効果としては、耐疲労性が著しく向上、残留応力
生じ疲れ強度の向上、耐摩耗性の向上、耐応力腐食割れ特性の向上、放熱性の向上、流体抵抗の減少等がみこまれます。特に高い疲れ強さを
要求される場合には2段以上のショットピーニングを行うこともあります。

ショットピーニングマシン

セッチング

 最大荷重が掛けられる長さ、高さより大きい力を一旦掛けてしまうという工程です。(塑性加工)使用中のへたり量が問題になるバネに
対して行われます。バネに過荷重をかけて、あらかじめへたらすことにより、使用時のへたりを緩和します。また、使用限界の荷重を上げるのが目的です。曲げ、またはねじり応力で使用されるバネでは、表面層には使用状態と逆方向の残留応力層が形成されてショットピーニングと
類似の理由によって、繰返し荷重を受けるバネの変形の防止、及び疲れ強度向上にも有効です。
 セッチングは常温において行われるもの、加熱状態で行われるものとに大別されます。一般的には常温で行います。加熱状態で行われる
ものは、バネを加熱した状態で常温のセッチングと同様の方法で行い急冷する場合と、治具により一定の荷重を加えた状態で加熱後空冷する
方法に分類されます。前者をホットセッチング、後者をクリープテンパと称しています。
 セッチングの注意点として、使用応力が小さいバネ、寸法精度の高いバネに対してはセッチングを行いません。
一般的には圧縮コイルバネ(押しバネ)に対して行い、引張コイルバネ(引きバネ)の場合には、初張力が抜けるのでセッチングは
行いません。トーションスプリング(ねじりコイルバネ)については、行う場合があります。セッチングをすると変形するので、
成形は変形量を見越して行わなければなりません。

フッキング(フック加工)

 引張コイルバネ(引きバネ)の両端部にあるフックを作成する工程です。

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