バネ知識 あれこれ(バネの用語集)
バネの用語集
バネに関する用語集です。(順不同)
用語 | 意味 |
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巻方向 | 巻き方向は、端末を起点として時計回りに巻かれていれば右巻、逆回転なら左巻。 (バネを立ててみて右上がりのものを右巻、左上がりのものを左巻と言えます。) 特に指定のない場合は右巻となります。 |
有効巻数 | バネとして作用する巻のことで、コイル部のバネ定数の計算に用いる巻数。 押しバネ(圧縮バネ)の場合は、一般的には 総巻数-座巻数 引きバネ(引張バネ)の場合は 総巻数 と同じ。 有効巻数=総巻数 有効巻数が3未満では、バネ特性が不安定になるので、3以上にするのがよい。 計算記号:Na |
座巻数 | 押しバネ(圧縮バネ)両端の平らに見える部分のことで、バネとして作用しない巻数。 バネ定数計算時に巻数として算入しない。 |
総巻数 | コイルバネのコイル部の端から端までの巻数のこと。 押しバネ(圧縮バネ)の場合は、一般的には 総巻数=有効巻数+両端の座巻数 引きバネ(引張バネ)の場合は 有効巻数が総巻数。フック部は巻きに含まない。 計算記号:Nt |
バネ定数 | “バネていすう”より“バネじょうすう”と呼ぶ方が一般的。 バネに単位あたりの変形(たわみ又はたわみ角)を与えるのに必要な力又はモーメントのこと。 圧縮コイルバネでは、1mm圧縮したときの力。基本的に「力/長さ」のように表す。 計算記号:k |
バネ指数 | D/d (コイル平均径 / 線径)で算出される値のこと。ディーバイディーともいう。 冷間で成形する場合には4~22の範囲で設定することが望ましい。 この数値が大きすぎても小さすぎても加工しづらい。 計算記号:c |
線径 | 線材の直径。 計算記号:d |
コイル内径 | コイルバネの内側の直径。コイル平均径-線径。 計算記号:D1 |
コイル外径 | 面の直径あるいは、外側の径の一番大きな箇所の直径。コイル平均径+線径。 計算記号:D2 |
コイル平均径(コイル中心径) | コイルバネの計算式に用いるコイル内径とコイル外径との平均値のこと。 バネのコイル内径とコイル外径を足して2で割った数値。 計算記号:D コイル平均径は直接測ることはできないので、計算で求める。 コイル平均径=(コイル内径+コイル外径)÷2 コイル平均径=コイル外径 – 線径 コイル平均径=コイル内径+線径 |
自由長 | 押しバネ(圧縮バネ)の場合、バネに全く力がかかっていない状態の長さ(全長)、 引きバネ(引張バネ)の場合、両端のフック間の長さの事。 計算記号:L |
たわみ | バネに荷重、モーメントなどを加えたときに発生する変位又は回転角。 バネをどのくらいの圧縮か、どのくらい引っ張るか、 または、ねじるか、 バネに力を加えた時の変化を表す値。ねじる場合は「ねじり角度」というのが一般的。 押しバネ(圧縮バネ)を例にあげると、自由長 – 密着高さ=たわみの最大範囲 計算記号:δ |
荷重 | 機械や構造物が外側から受ける重さのこと。 バネに加わる力、またはバネから生じる力の事。 押しバネ(圧縮バネ)の場合は 荷重=バネ定数×たわみ バネの荷重は残念ながら計算どおりいかないことがおおい。 荷重には、静荷重、動荷重、繰返荷重がある。 計算記号:P |
静的荷重 | 時間的に殆ど変化しない一定の荷重のこと。比較的荷重変動が無くバネの生涯を通じてその回数が1,000回以下の物をさす。 静的荷重には、温度変化による荷重も広義には含まれます。死荷重、不変荷重などとも言う。 |
動的荷重 | 動的に作用する荷重のことを言います。作用する様式により繰返荷重、衝撃荷重などに分けられる。 |
応力 | 荷重がかかるときばね内部に生じる、元の形に戻ろうとする力。 単位面積あたりに作用する荷重の大きさの事。 押しバネ(圧縮バネ)や引きバネ(引張バネ)は、ねじり応力を受ける。 ねじりコイルバネは、曲げ応力を受ける。 垂直応力はギリシア文字でσ(シグマ)、せん断応力(ねじり応力)はτ(タウ)で表わす。 計算記号:垂直応力 σ せん断応力 τ |
応力係数 | せん断応力(ねじり応力) ÷ 引張り強さ |
応力修正係数 | ワールによって提唱された代表的なコイルばねの応力修正係数が有名。 修正係数=(4×バネ指数-1)÷(4×バネ指数-4)+0.615÷バネ指数 計算記号:κ |
ねじり応力 | せん断応力の事。材料にねじりモーメントが発生するときに材料内部に発生する力。 計算記号:せん断応力 τ |
トルク | 力学において、ある固定された回転軸の周りにはたらく力のモーメントの回転軸方向の成分である。 一般的には「ねじりの強さ」として表される。力矩、ねじりモーメントとも言う。 |
曲げ応力 | 部材を曲げるような応力。引張応力と圧縮応力の組合せ応力。 荷重により部材内部に生じる「曲げモーメント」を断面係数で除した値。 計算記号:曲げ応力 σ |
曲げ応力修正係数 | ワールによって提唱されたトーションスプリング(ねじりコイルバネ)の応力修正係数。 修正係数=={4×バネ指数の2乗-バネ指数-1}÷{4×バネ指数×(バネ指数-1)} 計算記号:κb |
許容応力 | バネなどの各部に生じる応力が、これ以内であれば安全であるとする許され得る最大の値の ことを言う。 |
応力集中 | 材料の表面に急激な変化点があると、本来一様に分布しているばすの応力がその点に集中する 現象の事。バネの材料にキズがあると、そこに応力が集中し、折損したり計算どおりに荷重が でなかったりすることがある。 |
初張力 | 引きバネ(引張バネ)が荷重を受けていないときに、コイルが相互に押し合っているバネの内的力。 引きバネ(引張バネ)を引っ張って、コイル部分に隙間ができるまでの引っ張る力。 計算記号:Pi |
ピッチ | コイルバネの中心線を含む断面で、互いに隣り合うコイルの中心線に平行な材料断面の中心間距離。 一般的には、同形のものが等間隔に並んでいるとき、その間隔を表す方法で、穴と穴、 山と山、歯と歯の間隔のこと。 計算記号:p |
へたり(疲労永久変形) | 一定以上の荷重を加えることによって元の形に戻らなくなってしまう現象。 許容応力以上の応力によって生じたバネの永久変形のこと。 バネの場合、静的、動的、温間へたりがある。 |
疲労 | バネは弾性限以下では元の形状に戻るのだが、弾性限以下の応力でも繰り返し荷重を加え続けると、 微小なクラックが発生し折損する現象をいう。 |
永久変形 | バネ、ゴム材料、合成樹脂などにある変形を与え、ついで負荷を取り去り放置しても、完全には原形に戻らないで残る状態。 |
ひずみ | 物体に荷重が加わると、物体の内部には応力が発生し、形状が変化する。そのときの変形した 割合のこと。圧縮荷重や引張荷重が作用したときのひずみは縦ひずみといい、 ギリシア文字でε(エプシロン)と表わす。また、せん断ひずみはγ(ガンマ)と表わす。 計算記号:縦ひずみ ε せん断ひずみ γ |
永久歪み | 永久変形によって生じる残留歪み。 |
弾性変形 | 荷重を取り除いたとき、ひずみがなくなり元の形状に戻る場合を弾性変形という。 |
塑性変形 | 荷重を取り除いたとき、元の形状に戻らず永久ひずみが残る場合を塑性変形という。 |
引張り強さ | 引張試験開始から破断までの間における最大荷重を、試験片の断面積で割った値。 計算記号:τβ |
降伏点 | 物体に荷重を少しずつ加えていくと、あまり荷重が増加していないのに急にひずみが増加する (急に変形してしまう)点がある。これを降伏点という。 軟鋼で比較的観察しやすく、バネ材料のような硬い鋼線では降伏点を 観察するのは難しい。 |
耐力 | バネ材料ははっきりした降伏点を示さないので、降伏点に準じる点として塑性ひずみが0.2%生じた点の応力を耐力とする。 |
弾性限度 | ひずみが0.05%生じた点の応力。 |
バネ限界値 | 引張試験ではなく、曲げ試験で永久変形をする最大応力をバネ限界値という。主に板バネの材料で 使用される。 |
弾性係数 | 弾性限に至るまでは、応力とひずみは比例関係にあり、その比例定数を弾性係数という。 曲げ応力、引張応力、圧縮応力の場合は、縦弾性係数(ヤング率)、せん断応力、ねじり応力の場合は横弾性係数(剛性率)という。 弾性係数にはその他、体積弾性係数、ポアソン比がある。 |
縦弾性係数(ヤング率) | 弾性限界内における応力とひずみとの間に成り立つ比例関係の比例定数の事。ヤング率ともいう。 ねじりバネ・板バネ等のバネ定数の計算で用いられる定数。 計算記号:E |
横弾性係数(剛性率) | 弾性限度内におけるせん断応力とせん断ひずみとの間に成り立つ比例関係の比例定数の事。 剛性率ともいう。 押しバネ(圧縮バネ)や引きバネ(引張バネ)のバネ定数の計算で用いられる定数。 計算記号:G |
ポアソン比 | 材料の弾性限界内で縦方向に荷重を加えたとき、縦ひずみと横ひずみとの比。この値は、物質によって決まる。 計算記号:ν(ニュー) |
密着高さ | 押しバネ(圧縮バネ)の互いに隣り合うコイルが密着したときの高さ。 |
密着長さ | 引きバネ(引張バネ)の互いに隣り合うコイルが密着している時の長さ。 |
縦横比 | コイルバネなどの自由高さ(自由長さ)とコイル平均径との比を言う。 |
クリープ現象 | 荷重を負荷すると、最初は大きくひずむが、ある一定の点でひずみの速度が一定になり、その後急速にひずみが大きくなり折損する現象をいう。 |
オープンエンド | 押しバネ(圧縮バネ)端部の一種で、端末がコイル軸方向に隣のコイルと隙間がある状態。 |
クローズドエンド | 押しバネ(圧縮バネ)端部の一種で、端末がコイル軸方向に隣りのコイルと接している形状。 |
カチオン電着塗装 | 品物を塗料に浸漬し、品物を陰極、電着塗装内の電極を陽極として直流電流を流すことで、品物に塗膜を析出させる塗装。 |
テンパーカラー | 焼戻しの際に鉄鋼の表面に現れる酸化膜の色。 |
フックの法則 | 物体に負荷を加えると荷重がある限度に達するまでは荷重と歪みは正比例関係にあるという法則。 |
リングゲージ | 内径を精密に仕上げた環状の測定工具のことで、円の寸法を決定するために用いられる。 |
冷間成形 | 常温で加工、成形すること。 |
熱間成形 | 高温に加熱して加工、成形すること。 |
研磨 | 各種の工作物の表面を砥石や砂状の物などを用いて表面を細削またはすり合わせをして磨く事を言う。 |
バレル研磨 | バネを研磨材などと一緒に容器に入れて回転又は振動させることによって、ばり、スケールなどを除去する加工。バネの表面を清浄にする効果あり。機械加工で研磨しにくい場所でも、仕上げが可能であるのは利点の一つ。 |
ブルーイング | 冷間成形バネで、主に低温焼きなましと同じ目的の処理を行うことを言う。 この加熱によって金属の表面は、黄色又は青色の酸化膜を生じることからこの名前となった。 また、残留応力除去ばかりでなく外観、多少の耐食性を改善するための目的で 用いられる場合もある。 スプリングの外観及び耐食性を改善するために、加熱によって表面に黄色または青色の酸化膜を生じさせる熱処理を行うことを言う。 |
ベーキング | 素材のひずみ除去又は電気めっきや酸洗後などの水素除去を目的として行う熱処理の事。 |
パーカー処理 | パーカー処理とはリン酸亜鉛皮膜処理とも言う。他にもさまざまな呼び名があり、 |
黒染め処理 | アルカリ性となる高濃度の苛性ソーダの液中(ガンブルーとも言われます)に酸化剤を混ぜ、 |
ジオメット処理 | 表面処理の一種。「亜鉛フレーク」と「アルミのフレーク」を混合した処理液に対象物を浸漬し、 |
ダクロタイズド処理 | 表面処理の一種。「金属亜鉛フレーク」「無水クロム酸」をグリコール等から成る処理液に製品を |
三価クロメート処理 | 亜鉛めっき後の後処理として、三価クロムを含むものの六価クロムは含まない溶液に金属を浸す浸し、金属表面で化学反応を起こして、金属表面に防食効果などを発揮する皮膜を形成する化成処理のことを言う。「三価クロム化成処理」や「クロメートフリー処理」とも呼ばれる。六価クロムを含む |
ユニクロメッキ | 亜鉛めっき後の後処理として、フッ化物を含んだ溶液でクロメート処理したもののことを言う。 |
ニッケルメッキ | ニッケルメッキは、耐食性、耐薬品性に優れ、硬さ、柔軟性など物理的性質も良好であり、 |
カニゼンメッキ | 日本カニゼン株式会社の無電解ニッケルメッキの商品名。日本国内で最初に広まった |
亜鉛メッキ | 亜鉛メッキとは、亜鉛金属を電気の力で析出させる方法(電気亜鉛メッキ)と溶融させた亜鉛に浸漬 |
塩水噴霧試験 | 金属材料またはめっき皮膜・塗装皮膜を施した部品・製品の耐食性を評価する試験。 |
ピッグテールエンド | 押しバネ(圧縮コイルバネ)端部の一種で、端末がコイル径方向内側に巻き込まれた形状の事。 |
ミルシート | ミルシート(英: Mill Test Report, Mill Test Certificate)とは、鋼材メーカーが発行する鋼材の品質を証明する書類です。工場や製作所を表すmill(ミル)と書類を表すSheet(シート)を組み合わせた |
オーステナイト | 常温常圧の鉄は体心立方格子構造(bcc構造)を取り、強磁性体である。 |
マルテンサイト | Fe-C系合金(鋼や鋳鉄)を安定なオーステナイトから急冷する事によって得られる組織の事。 |